Arduino UNOのATmega328Pリセット方法と実装ガイド

UNO-ATmega328

Arduino UnoのATmega328Pマイクロコントローラにおけるリセットピンは、マイクロコントローラをリセット状態にするために使用される特別なピンです。このピンを活用することで、プログラムの実行を初期状態から再開させることができます。リセットピンの電気的な仕様、ソフトウェアでの使用方法、およびArduino IDEでの動作について具体的に見ていきましょう。

電気的な仕様

まずは電気的な仕様を理解します。

  • アクティブロー
    リセットピンはアクティブロー設計であり、ピンをGNDに接続することでアクティブ化され、マイクロコントローラがリセットされます。
  • 内部プルアップ抵抗
    ATmega328Pのリセットピンには内部的にプルアップ抵抗が接続されており、通常は高電位に保持されています。これにより、不意のリセットを防ぐことができます。
  • 最小パルス幅
    リセットが適切に認識されるためには、リセットピンを一定期間GNDに保持する必要があります。ATmega328Pのデータシートによると、この最小パルス幅は通常2.5μs以上です。

IDEでリセットが使用されるプロセス

プログラムをアップロードするとき

Arduino IDEからプログラム(スケッチ)をATmega328Pにアップロードする際、IDEは自動的にマイクロコントローラをリセットします。これにより、ブートローダーがアクティブになり、新しいプログラムのアップロードが可能になります。

    Arduino IDEを使用してリセットピンが制御される仕組みは、Arduinoのブートローダーとプログラミングインターフェースによって実現されます。

    Arduinoボードのブートローダーは、Arduino IDEからの書き込みやリセットシーケンスを管理します。Arduino IDEからプログラムを書き込むとき、最初にArduino IDEはリセットをトリガーし、マイクロコントローラーをブートローダーモードに入れます。その後、シリアルポートを介してプログラムが送信され、ブートローダーがそれをマイクロコントローラーに書き込みます。

    リセットピンが制御される具体的な手順は以下の通りです。

    1. プログラマブルインタフェースチップ(USB-シリアル変換チップなど)がArduinoボードのリセットピンに接続されています。
    2. Arduino IDEからプログラムを書き込むとき、IDEは最初にリセットをトリガーします。これにより、マイクロコントローラーがリセットされ、ブートローダーモードに入ります。
    3. ブートローダーは、シリアルポートを介して受信したプログラムをマイクロコントローラーに書き込みます。
    4. 書き込みが完了したら、マイクロコントローラーはリセットされ、プログラムが実行されます。

    このように、Arduino IDEはプログラムの書き込みやリセットを制御し、リセットピンを介してマイクロコントローラーのブートローダーモードに入れます。

    シリアルモニターを開くとき

    Arduino IDEのシリアルモニターを開くとき、多くの場合、Arduinoボードはリセットされます。これにより、プログラムの実行を初期状態から開始し、シリアル通信をクリアな状態で開始できます。

    1. シリアルモニターを開始すると、Arduino IDEは最初にシリアルポートに接続を試みます。
    2. 接続が確立されると、Arduino IDEは自動的にリセット信号を送信します。これにより、マイクロコントローラーがリセットされ、ブートローダーモードに入ります。
    3. リセットが行われた後、Arduino IDEはシリアルポートを介してデータを送信することができます。これにより、シリアルモニターにマイクロコントローラーからのデータが表示されます。

    この仕組みにより、Arduino IDEのシリアルモニターを開くときに、自動的にArduinoボードがリセットされて、プログラムの実行を開始することができます。これにより、シリアル通信を介してデータを送受信する際に、正しいタイミングで通信が開始されます。

    プログラムからリセットをする方法

    Arduinoスケッチからリセットをトリガーすることができます。一般的には、リセットをトリガーするために、以下の方法が使われます:

    1. リセットピンを制御する方法:
      • マイクロコントローラーのリセットピンを直接制御し、リセットをトリガーします。
      • リセットピンをLOWにプルダウンすることで、マイクロコントローラーをリセットすることができます。
      • Arduinoのreset()関数を使用して、リセットをソフトウェアからトリガーすることもできます。
    2. ハードウェアリセットをシミュレートする方法:
      • ソフトウェア的な方法として、特定の条件が発生した場合にArduinoスケッチ内で自己リセットのコードを書くことができます。
      • これには、特定のセンサーの値が閾値を超えた場合や、エラーが発生した場合などが含まれます。

    Arduinoスケッチからリセットをトリガーする場合、reset()関数を使用することが最も一般的です。以下は、Arduinoスケッチ内でreset()関数を使用する方法の例です

    void setup() {
     // 初期化処理
    }
    
    void loop() {
      // 何らかの条件が満たされた場合にリセットをトリガーする
      if (some_condition) {
        reset(); // リセットをトリガーする
      }
    }

    ただし、注意点として、reset()関数を呼び出すと、Arduinoボード全体がリセットされます。そのため、スケッチ内でreset()関数を呼び出すと、プログラムが最初から再開されます。

    レジスタ操作でリセットをする方法

    Arduino IDEのreset()関数は、ATmegaマイクロコントローラーのリセットをトリガーするための標準的な方法ですが、直接的にレジスタを操作して同じ効果を得ることも可能です。具体的には、リセットコントロールレジスタ(MCUCR)を使用してリセットをトリガーすることができます。

    以下は、ATmega328PマイクロコントローラーでリセットをトリガーするためのC言語のコード例です。

    #include <avr/io.h>
    #include <avr/wdt.h>
    
    void resetMCU() {
      cli(); // 割り込みを無効にする
      wdt_enable(WDTO_15MS); // ウォッチドッグタイマーを有効にし、15ミリ秒のタイムアウトを設定する
      while (1); // ウォッチドッグタイマーによるリセットを待機する
    }
    
    void setup() {
      // 初期化処理
    }
    
    void loop() {
      // 何らかの条件が満たされた場合にリセットをトリガーする
      if (some_condition) {
        resetMCU(); // リセットをトリガーする
      }
    }
    

    このコードでは、resetMCU()関数が定義されており、これを呼び出すことでリセットがトリガーされます。resetMCU()関数では、まず割り込みを無効にし、次にウォッチドッグタイマーを有効にして15ミリ秒のタイムアウトを設定します。その後、無限ループに入ることで、ウォッチドッグタイマーによるリセットを待機します。

    この方法を使用すると、reset()関数を呼び出すのと同様の効果を得ることができますが、直接的なレジスタ操作が必要です。

    wdt_enabletとは...

    wdt_enable()関数は、AVRマイクロコントローラーのウォッチドッグタイマー(Watchdog Timer)を有効にするための関数です。ウォッチドッグタイマーは、マイクロコントローラーが予期せずフリーズしたり、異常動作したりした場合に、マイクロコントローラーを自動的にリセットするための機能です。

    wdt_enable()関数は、次のように定義されています。

    void wdt_enable(int timeout);

    この関数は、引数としてタイムアウト値を受け取ります。タイムアウト値は、ウォッチドッグタイマーがカウントする時間を決定します。一般的なタイムアウト値には、WDTO_15MS、WDTO_30MS、WDTO_60MSなどがあります。これらはそれぞれ15ミリ秒、30ミリ秒、60ミリ秒のタイムアウトを表します。

    ウォッチドッグタイマーは、プログラムのメインループで定期的にリセットされない限り、タイムアウト値が経過するとリセットがトリガーされます。そのため、wdt_enable()関数を呼び出すと、指定されたタイムアウト値でウォッチドッグタイマーが動作し、指定された時間が経過するとマイクロコントローラーがリセットされます。

    以下は、wdt_enable()関数の使用例です

    #include <avr/wdt.h>
    
    void setup() {
      // ウォッチドッグタイマーを有効にし、15ミリ秒のタイムアウトを設定する
      wdt_enable(WDTO_15MS);
    }
    
    void loop() {
      // 何らかの処理
    }
    

    この例では、setup()関数内でウォッチドッグタイマーを有効にし、15ミリ秒のタイムアウトを設定しています。その後、loop()関数内で通常のプログラム処理が継続されますが、ウォッチドッグタイマーは常に動作しており、15ミリ秒ごとにリセットがトリガーされます。

    ウォッチドッグタイマー(Watchdog Timer)は、マイクロコントローラー内部に組み込まれたタイマーで、プログラムの正常な実行を監視し、異常が発生した場合に自動的にシステムをリセットする機能を提供します。

    ウォッチドッグタイマーの主な目的は、マイクロコントローラーが無限ループに陥ったり、フリーズしたり、プログラムが予期せず停止したりするような状況に対処することです。これらの状況は、ソフトウェアのバグ、ハードウェアの不具合、外部のノイズや電力の問題などによって引き起こされる可能性があります。

    ウォッチドッグタイマーとは

    ウォッチドッグタイマーは、通常はプログラム内で定期的にリセットされます。リセットが行われるたびに、タイマーはゼロに戻り、カウントが再開されます。プログラムが正常に動作している場合、ウォッチドッグタイマーは定期的にリセットされるため、タイマーがタイムアウトすることはありません。

    一方、プログラムが異常な状態になったり、正常な動作が停止したりした場合、ウォッチドッグタイマーはリセットされず、タイムアウトが発生します。タイムアウトが発生すると、マイクロコントローラーは自動的にリセットされ、

    再起動が行われます。これにより、マイクロコントローラーは初期状態に戻り、正常な動作を再開することができます。

    ウォッチドッグタイマーは、システムの信頼性や耐久性を向上させるために広く使用されています。特に、組み込みシステムやリアルタイムシステムなど、信頼性が非常に重要なアプリケーションで利用されます。

     

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