abs():Arduino標準関数

標準ライブラリー

Arduinoの標準関数abs()、引数として提供された値の絶対値を算出するために使用する関数です。値が負である場合、その負の符号を割愛し元の値の絶対値を返します。値が正である場合、そのままの値を返します。なお、この関数は整数と浮動小数点数の両方に対応しています。

Arduino ABS関数について

関数仕様

  • 構文 : abs(x)
  • パラメータ : x – 絶対値を計算する値
  • 戻り値 : xの絶対値

関数使用サンプルコード

Arduinoのabs関数を使い、与えられた数値の絶対値を求め、Serialに出力して表示するサンプルコードです。負の整数と(-58)と負の浮動小数点数(-23.4)の絶対値を計算します。

void setup() {
  Serial.begin(9600);
  int val1 = -58;
  float val2 = -23.4;
  Serial.println(abs(val1)); // 58
  Serial.println(abs(val2)); // 23.4
}
void loop() {
  // no code in here as it's an one-time calculation
}

これらの計算結果をシリアルモニタに表示します。上記では、abs(-58)の結果として58、abs(-23.4)の結果として23.4が得られます。

注意点

  • abs関数は全ての数値型に対して使用可能ですが、真理値型(boolean)に対して使用することはできません。
  • 引数で与える数値が大きすぎるとオーバーフローして予期せぬ結果を返すことがあります。

abs関数を使用するシーン

Arduinoを使って計測プログラムで abs() 関数を使用する典型的なシナリオの一つに、センサーからのデータを扱う場面があります。abs() 関数は、数値の絶対値を計算するために使われます。この関数は、特にセンサーからの測定値が正負どちらもとれる場合や、差分を計算する際に非常に役立ちます。

使用シーンの例

温度差の計測

二つの温度センサーからの測定値を比較し、その温度差を求めたい場合、測定値が負の値を取る可能性があるため、その絶対値を取ることが重要です。

int tempSensor1 = analogRead(A0); // センサー1からの読み取り
int tempSensor2 = analogRead(A1); // センサー2からの読み取り

int tempDifference = abs(tempSensor1 - tempSensor2);

Serial.print("Temperature difference: ");
Serial.println(tempDifference);

加速度センサーからの振動測定

加速度センサーからのデータを用いて、特定の軸に沿った振動の強度を測定する場合にも abs() 関数が有用です。加速度のデータは方向に依存するため、絶対値を取ることで振動の強度だけを評価できます。

int accelerationX = analogRead(A2); // X軸の加速度

// 基準値からの偏差を計算し、その絶対値を取る
int deviation = abs(accelerationX - baseline);

Serial.print("Vibration intensity on X-axis: ");
Serial.println(deviation);

これらの例では、abs() 関数を使用してセンサーからのデータの絶対値を取得し、プログラム内で扱いやすくしています。特に、環境の変化による影響を正確に評価するためには、値の絶対値を用いることが一般的です。これにより、データの解釈が直感的かつ実用的に行えるようになります。

abs関数の中身

abs() 関数は、整数の絶対値を返す標準的なC/C++の関数です。Arduino環境でもC言語の標準ライブラリの一部としてこの関数を使用できます。内部的には、abs() 関数は非常にシンプルなロジックを用いています。以下に、一般的なC言語での abs() 関数の実装例を示します。

int abs(int x) {
  return (x < 0) ? -x : x;
}

absをインラインアセンブルしてみる

rduino IDEでコンパイル可能なインラインアセンブラを使用して、asm_abs 関数を作成します。この関数は引数として1バイト(8ビット)整数を受け取り、その絶対値を返します。以下はAVRアーキテクチャ用のインラインアセンブラのコード例です。

#include <Arduino.h>

byte asm_abs(byte x) {
  byte result;
  asm volatile (
    "cp %1, __zero_reg__ \n\t" // 比較: xと0を比較
    "brge .+4 \n\t" // 0以上ならスキップ(次の2命令分)
    "ldi %0, 0 \n\t" // 結果を0で初期化(負数の場合の処理準備)
    "sub %0, %1 \n\t" // 0からxを引く(符号反転)
    : "=&r" (result) // 出力オペランド: result (early clobber)
    : "r" (x) // 入力オペランド: x 
    );
    return result;
  }

void setup() {
  Serial.begin(9600);
  byte a = -128;
  byte b = asm_abs(a);
  Serial.print("Absolute value of ");
  Serial.print((int)a);
  Serial.print(" is ");
  Serial.println((int)b);
}

void loop() {
  // ここでは何もしません。
}

コードの解説

  • インラインアセンブラの基本構文: asm volatileは、コンパイラに対してこのアセンブリコードを最適化で回避するよう指示します(volatile)。
  • 命令: cp は比較命令で、レジスタの値と __zero_reg__(常に0を保持するレジスタ)を比較します。brge(Branch if Greater or Equal)は比較結果が非負(0または正)の場合に次の命令をスキップします。ldi は即値ロード命令で、指定したレジスタに値をロードします。sub は減算命令です。
  • オペランド:
    • "=&r" (result) は、出力を result に格納し、そのレジスタが他の用途で使われないように(early clobber)指示します。
    • "r" (x) は入力レジスタとして x を使用します。

この関数はシンプルな絶対値計算を行い、Arduinoで直接使用することができます。また、この例は8ビット値の処理に特化していますが、より大きなデータタイプに対しては、アセンブラコードを適宜調整する必要があります。

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